シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「瘴気よ…俺の力となれッッ!!!」
そう叫びながら、身体全体を媒介にし周囲の瘴気を体内に凝縮させると、一気に力を放出させた。
同時に。
真横から消えた男の姿が、宙に現れ――
そして足で、俺の力を蹴りつけるようにして…軌道を横に逸らした。
正しくは、蹴った…わけではない。
蹴りに生じた気圧によるもので――それだけ威力ある足使いは…氷皇を彷彿させるものだった。
力が横壁を砕き、瓦礫が派手に崩れ落ちる。
男は静かに、床に舞い降りた。
俺は再び、手に闇の力を纏(まと)う。
「ほう…やる気か」
それは…残忍な…殺戮者の目で。
真紅に――光る。
「お前は…制裁者(アリス)か!!?」
男は笑った。
「8年前…」
どくん。
俺の心臓が嫌な音をたてた。
――芹霞ちゃあああん!!!
「本当は、俺が遣われるはずだった。
だが…急遽選ばれたのは、俺の次に強い男」
――死んじゃ嫌だああああ!!!
どくん。
「今では、見る影もない…
――暁の男」
この男は…
「お前は――
BR……001?」
男は、口許を吊り上げて微かに笑う。
「そうとも…いう」
そして――
一気に、警戒距離を踏み越えてきた。