シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「どうしますか、櫂様」


いつも無表情の桜ちゃんであるけれど、今回は更に淡々としていて…怖いくらいの冷たさがある。


櫂同様、桜ちゃんも…憤る心情が大きかったのだろう。



彼らは…やはり怒らすと怖い。


絶対怒らせたくない。



あたしは胸に誓った。



そんな時、櫂があたしを片手で引き寄せて。



「――あいつの様子がおかしい。


気が…大きくなっている」



警戒に満ちた声を出した。



桜ちゃんも強張った顔をして、櫂の前に立つ。



目の前の男は――

未だ声を上げない。


だけどあたしでも判る。


血が…引いていくんだ。


ありえない。


あんな怪我…数分で回復出来るなど。



そして…



「!!!!!」


男は床に落ちている眼球を手で拾い…


今まで手で抑えていた部分に、ねじ込んだんだ。



「そんな!!!」



身体にびりびりと走る緊張感。


絶対あり得ない事態が、目の前に起こっていて。




「中々…洒落た真似をする」



笑った口調の櫂の声も…強張っていた。



そう。


目の前の男は…


2つの銀の双眸を…再生させたのだ。


何事もなかったかのように。


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