シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
こつ…。


「煌の手は戦力としても欲しいが…優先順位は、玲を守るのが先だ。桜。俺が此の場を凌ぐから、お前は保健室へ行って、朱貴に加勢してくれ」


「しかし櫂様。あの男相手に…」


「この蔓延した瘴気を利用出来るのは、俺だけだ」


こつ、こつ…。



「話は…終わったか?」



銀色の蒼生ちゃんが…整った顔に、酷薄な笑いを浮かべて近付いてくる。


だから。


「俺もかけつけるから。だから一刻も早く玲を…」


だからあたしは――



「玲を……芹霞!!!?」


あたしは駆けだした。


危険なんて十分承知。


危険なのはあたしだけじゃない。


皆頑張っているのに、あたしだけのうのうと守られてたまるか!!!


あたしは、玲くんと約束したんだ。


煌を絶対見つけてやるんだ。


玲くんだって、紫茉ちゃんだって、危険を承知で…あたし達の為に。


だったらあたしだって、やらないといけない!!!


早く煌を見つけて、連携を正せねば!!!


「煌、煌ッッッ!!!!


出てきなさいッッッ!!!」



声を上げた時、悪寒のような緊張感が走り…振り向くと、銀色。


冷酷な銀の双眸は、あたしを射程内に捕らえていた。




――芹霞ちゃあああん!!!



「もう一度、逝くか? 同じ様に…」



――ぎゃははははは。


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