シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「……ひっ」


身体が…恐怖を覚えている。


真紅色の瞳。


ぶるぶると震えが来た。


見てはいけない。

忌まわしいこの色を、心に入れてはいけない。


だけど…縛られたように、あたしは動けなくて。


2ヶ月前を思い出す。


邪眼。


魅入られたあたしから、世界が…薄れていく。


そして…闇が訪れる。


暗い暗い…沈黙の闇。


懐かしい漆黒の闇――



そんな時だった。



『あちこち触って、爆発させるな、馬鹿ワンコッッッ!!!』



キーン。



耳につんざくような甲高い声が聞こえたのは。


あたしの闇は、声によって裂かれた。


『ワンコはすっこんでろッッッ!!!』


キーン。


声と機械の音が入り混ざり、此の場の全ての者が動きを止めている。


銀色氷皇もまた同じく。


誰もを金縛りに遭わせる程の、喧(やかま)しい高音波で。



『小猿こそ、そこにいろッッ!!!

俺は、玲の機械弄りをいつも見てるんだ。

機械なんてお手の物さ!!!

ここら辺のスイッチで多分…違うな、あれ、此処かな。それとも此処…』



ブチッ。


途端に静かになった。



推測してみれば。



放送室にいるんだ、あいつら。


放送状態になったのを知らずに、放送止めて…何をしたいのかさっぱり判らないけれど。


判るとすれば――

放送室に行けば煌に会えるということ!!!


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