シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 


そして2階に行き着けば。



「…あそこの渡り廊下抜ければ…高等部ですが…」


桜ちゃんは、こくんと喉を鳴らす。



「瘴気が…半端じゃない」



瘴気がどういうものかは判らないけれど、見るからに黒々として怪しい雰囲気満載の様子が見て取れる。


墓場の肝試しよりも、おどろおどろしい。


「あの中…抜けないと駄目なの?」


桜ちゃんは頷いた。


「……。煌が抜けられたのなら、あたしだって大丈夫。桜ちゃん行こう!!!」


あたしは桜ちゃんの腕を引いてかけだしたけれど。



「動かない…」


渡り廊下3分の1程度で…突如足が動かなくなった。


まるで…何かが足を押さえつけているかのように。


背筋にざわざわとした悪寒が駆け上る。


「芹霞さん、僕の結界に入って!!!」


動けないあたしを見て取り、桜ちゃんがあたしを引き寄せる。


途端に…足が解放される。


あたしは捩るようにして、少し上の位置にある桜ちゃんの顔を見遣った。


「ありがとう」


にっこり笑った途端、桜ちゃんは――


「ど、どうしたの!!?」


思い切り自分のつやつやほっぺを、自分の手で叩いて。


「……いえ。惑わないように、気付けです」


よく判らないことを言って、きりりと顔を引き締めた。



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