シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

・焦慮 桜Side

 桜Side
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押し寄せる聖気が、櫂様の力の糧を凌駕していくというのなら。


櫂様の力が減じられたということ。


だから私は闇雲に走った。


時間にしては数分なれど、それでも感覚的には何度間も傍を離れていたような焦りが身体を駆け巡る。


櫂様の司る闇の中で、薄れる自分の輪郭を自覚すると共に、私を象るガードが不意に弛んで…芹霞さんへの想いに揺れてしまった私。


闇の中、私は芹霞さんに何を望んだ?


そんなことをしているから、櫂様を裏切るような真似をしているから…大切な櫂様の身に危機を招いたような気がして。


余計に私は、焦っていた。


櫂様、櫂様、櫂様!!!



私の頭の中は、櫂様の安否で一杯だった。


――約束、して欲しいんだ。



走る。


走る。



瘴気がここまで薄れているのは、煌と皇城翠の凸凹コンビのおかげなんだろう。


――頼む、桜……。


何故、そんなことを私に頼むんだ、あの馬鹿蜜柑。


そういわれたら――


何が何でも解決策を見つけたくなるじゃないか。


問答無用で、切り裂けないじゃないか。


何処までも手間をかけさす厄介な奴だけれど、やはり皇城翠を煌の傍に置いておいて正解だった。


どんな理屈かは判らないけれど、皇城翠という存在は、煌のお守りになる。


煌の体内異変の進度は、皇城翠の存在にかかっている。


彼がいれば…煌を殺さずにすむ。


それが、凄くほっとした。


本来ならば――

そこそこの力を持つ皇城翠に、芹霞さんを任せて何処かに避難していて貰い…私達が気兼ねなく敵の追撃に力を注ぎたい処だけれど、そういってもられなくて。


一刻も早く、櫂様の元へ!!!
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