シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「…み、水の符呪!!!」
翠の声に反応した薄い水色の光が、万年筆からの青い光を捉えた。
勢いは抑えているが、押し返すまでの勢いはない。
「もう1枚、追加ッッッ!!!」
水色の力に、更なる力が加わって勢いが増さったが…。
私は――
一抹の…不安を感じた。
「は、葉山見て、ねえ見て!!? 俺の…弾き返している!!!」
その喜びようがまた…更に強く、不安を感じさせた。
「よし、このまま…もう1枚!!! 凄い、俺!!! 初めてだ、やっぱり恋の力って偉大だな!!! よし、もう1枚!!! ひょ~葉山、見ろよ!!! 万年筆がぶっ壊れた!!!」
不安――…。
本当に私は不安で。
予定外に上手く行きすぎるツケが、その歪みが…必ず後で出てきやしないかと。
皇城翠の満面の笑顔が、憂愁の念を強く深くさせていく。
そして、突如"それ"はきた。
上から下へ、左から右へ、右から左へ。
ザアアアアアアアッッッ。
水。
水。
水。
暴雨の嵐。
激しい水圧のシャワーに、息すら真っ当に出来なくて。
「わ、わわわわわ。水…やばい、止まらないッッ!!! 何か他の符呪…火の符呪が出てきた!!! よし水蒸気にして飛ばそ・・・ああ? 煙しか出てこない…」
ぷすっ。
そんな音をたてて、目の前の"何か"の気配は消えて。
暴雨の勢いは止まらない。
「あ、ああそうだ!!! お、押し退けよう!!! 風…風は自信があるんだ!!! だから大丈夫だから!!! 風の符呪!!!」
今度は――
暴風が渦巻いた。
瓦礫に囲まれ、傾いたこの空間で、荒れ狂う暴風被害。
雨の上に風。
ああ――
私を怒らせたいのか、この男!!!