シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
危険……?
そんなもの、百も承知だ。
この先が、危殆孕んだ闇の中だということも判っている。
僕を煽る…"狂気"も存在する世界だということは判っている。
だけど――
――約束、して欲しいんだ。
僕は、櫂を守りたいんだ。
その為なら、僕は――。
『玲、此処を抜けるのは強い精神が必要なんだ。自分をしっかりもて。何か…現実と繋がるものを強く思い描くといい。決して闇に心を囚われるな』
「芹霞……」
僕は祈るように、芹霞を思い浮かべた。
芹霞の笑顔。
芹霞の声。
僕に安定をもたらす、僕の希望。
僕はちゃんと帰るから。
君の元に帰るからね……?
芹霞は僕の命綱。
僕だって櫂を言ってられない。
リアルの櫂の命を守る為に、芹霞を付き添わせた。
その芹霞の元に帰る為に、僕は今此処の世界に居る。
現実の内と外から、芹霞を必要としている。
ああ、煌。
お前だってそうだろう。
お前だって、揺らぐ自分を抑える為にも芹霞は必要なんだ。
単純な恋じゃない。
軽く終わる愛じゃない。
僕達の生き方に、芹霞は必要なんだ。