シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


だけど――


「……どうした、煌?」


訝る芹霞の前で俺は目を細める。


「視線は――…

あいつらのものじゃない」


舐るようにまだ続く視線は、あの方角じゃない。


俺は顔を空に向けて、その視線の先を走査した。



何処だ。


この…嫌な視線。


そして。


「!!!」


109の建物の上。


そこに小さな人影。


俺は見たんだ。


こちらを見下ろしているその姿。



黄色い外套。

青白い仮面。



俺は目がいいんだ。


見間違えるはずはねえ。


こんな白昼堂々とお出ましかよ。


嫌な汗が流れ落ちる。

< 86 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop