シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
繋いでやる。
何としてでも、帰る道を繋いでやるから。
「お前達は此処にいて、玲の力になってやれ。それだけで玲は…安心するはずだから。櫂、桜…大丈夫だ。俺にだってやらせろよ。お前達はこれからの策とか練ってろよ。考えることは得意だろ?」
「あ…紫堂。ボク、師匠から色々伝達受けてたんだ」
遠坂が思い出したように、銀色の袋からノートを取り出した。
どうでもいいけど…遠坂、あんな状況でよくその袋を置き忘れずに持ち歩けるよな。
お前の身体と一体化しているようだ。
「玲から?」
櫂はその…広げられたノートを覗き込んだ。
伝達ということは、玲は何かを見て感じる処があったんだろう。
櫂に判断を委ねたに違いない。
それは櫂の得意分野だ。
そして俺の得意分野は…身体を使うことで。
なあ、玲。
――頼むぞ、煌。
お前は、俺に…"終焉"ではなく"救済"を求めたんだろ?
死なせはしねえから。
馬鹿なりに俺は全力で走るから、お前も全力で頑張れ。
踏ん張れ。
狂気に…流されるな。
俺は玲の顔を見ながら、そう心で呟き…小猿と部屋を出た。
「小猿。頼みがある」
パタンとドアを閉め、部屋の外で俺は小猿に言う。
「タイムリミットまで、
俺と付き合ってくれねえか」
途端に――
小猿はざざざと退いた。