シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「身体に移るような…何かの匂いでもしてた? ん?」
にっこり。
玲を…彷彿させる。
「なあワンコ!!! 何か甘い香りがしてたよな。香水…?
そういえば塔の中でもしてたな」
事態を見抜けない翠の言葉が、芹霞の癇に障ったらしい。
「この――エロエロ発情犬!!!
勝ち誇った顔で、どうでもいい知識をひけらかすなッッ!!!
いくら物知り櫂でも、そんなこと知るわけないでしょ!!!
同意を求めるな、同意をッッッ!!!
未(いま)だ行ってるのか、如何わしいネオン街ッッ!!!」
芹霞が胸倉掴んで、今にも頭突きをしそうな気配で。
「うわっ、ストップ!!! ストップ!!! 今禁欲生活してるからッッ!!
…ああ、そうだ!! 如何わしくない場所もあるみたいだから、解禁時、お前との場合はそういう処に連れていって…」
「――調子乗って…
何ほざきやがるッッ!!!
解禁なんて、永遠にねえッッ!!!」
桜の反動をつけた回し蹴りが、煌の首筋に決まった。
多分――
此処に玲がいたら、更にえげつない攻撃をされただろう。
「おおい…小猿くん。大丈夫か? こういうのはいつものことだから。さすがにボクも慣れたよ。え? 葉山が怖いのか? ああ、節度を保って礼儀正しく紳士的に振る舞えば、大人しいままさ。ワンコは…本能が暴走して、考えるということをしないからね…。葉山の…ある意味、ストライクゾーンなのさ」
「ワンコが…葉山のストライク…。
負けねえ。エロワンコに負けねえ!!!」
皇城翠の目が、輝いた…気がする。