シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ああ、そうそう!!! なあ…あの学園長なんだけど、桜華の女生徒をその怪しげな部屋に連れ込んで…小猿が言うには、今回のミスコンの優勝候補だという美女らしいけど」
「…見たのか?」
やはりいつもの如く、桜の攻撃を手で摩って終わりの煌に、単刀直入に聞けば…途端にもごもごと言葉を濁す。
「見たというか、見えたというか…いやその濡れ場が異様で…。イボガエルっていうのもあるけれど。
まあ人それぞれ、趣向というものはあるだろうけどさ…」
俺は笑った。
「学園長に――加虐趣味があるんだろう?
例えば、昂ぶれば…女の首を絞めるというような…」
「!!! 何で知ってるんだ!!?」
褐色の瞳が大きく見開かれ、同時に藍鉄色の瞳を大きくなる。
「紫堂お前…エスパーか!!!?」
「何を…今更…」
遠坂がぼやいた。
「ははは。そうでなければならないからな。そうでなければ、イチルは女生徒を首を絞めて殺そうとしない」
「なあ櫂。俺、学園長の話…してんだけど」
「ああ、だからさ」
煌がぽかんとした顔を、こてんと横に傾げた。
同様な反応をする皇城翠と、芹霞。
「そしてそれが引き金なのさ、上岐妙が…イチルを殺した記憶を思い出したのは。同じ目に遭って、封印していた最悪の記憶が蘇った」
3人は、今度は反対側に首を傾げた。
まるで示し合わせたかのような動きに、吹き出しそうになる。