シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「で、何かな…? 俺に相談って。俺、これでも貧乏生だから、バイト三昧で忙しい身の上なんだわ。え? 次はマックの店員さんだよ。"ご一緒にポテトはいかがですか~?" やっぱ、笑顔が大事だよね」
「顔なんて見えないじゃないか」
煌がぼやく。
「いや~そうだったね、1本とられちゃった。ははは」
「……計都、今日は随分とハイテンションだね。どうしたの?」
不可思議そうな顔で芹霞が聞いた。
「ん? そりゃあ、あの有名な紫堂櫂くんを目に出来たのだから、テンション高くなるでしょう。俺、凄く会いたかったんだし」
朗らかなその笑いが、次第に何かを含んだような…歪なものように変わったように感じて、思わず俺は目を細める。
「立場は…同等になったんだから・・・ね」
"立場"? "同等"?
挑発的な鋭さを響かせたそれは、自分に言い聞かせているように小さいもので。
それに対して口を開きかけた俺を牽制するように、計都は先に言葉を放った。
「紫堂くんの聞きたいことに答えてあげる。どうせ義妹の…一縷のことでしょ? …魔眼のこと?」
"魔眼"
怪しいキーワードは、俺から言葉を奪う。
「お察しの通り、黄幡家っていうのは特殊家系でね。呪いだの力だの…およそ人様の前では自慢できない能力を持つ人間を密やかに排出している。
ただしそうした力を持つのは、オッドアイ。片目碧眼の者だけだ。
それは、覇者の瞳とも言われ、見る人間の精神を狂わし、操る力があると言われている。
まあ…オッドアイの故意なくとも、周りは皆勝手に狂っていくらしいけれど。
オッドアイは、必ず双子で生まれつく。双方、異なる側の瞳の色が違うんだ。
だけど片方は薄命でね、病死だの他殺だの…とにかく長く生きれない。するともう片方は狂い出すんだ、自身に呪いをかけるように。つまりどちらかが死ねば、どちらかは生きていられない。
種の保存的に…力を子孫に伝達していきたい黄幡家としては、オッドアイが死なないよう、甘やかして育てる傾向にある」
そして喉元でくつくつ笑う。