シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「そうした閉鎖的な環境が祟っているのか、オッドアイの持ち主自体…異常な趣向の持ち主が多いね」
「異常な趣向?」
「残虐性が高く、すぐ"支配者"になりたがる。
そして…"心"が欠落している」
計都の唇が、薄ら笑いの形を作った。
「普通の精神の持ち主だと考えないほうがいい。表と裏が甚だしく違うから。まあ…君達は昔、それを感じたはずたよね、イチルから」
俺は――目を細めた。
「ただのいじめられっ子だと思ってた? 違うだろ? "見た"んだろ? だから…彼女を置いて逃げ出して、今まで忘れていたんだろ、イチルのこと」
何を…知っている?
「しかも全てを思い出しきれていない。
肝心なことは全て」
それは…詰るような物言いで。
「計都…何か知っているの?」
芹霞の問いに、計都はくっくっと笑い出した。
「君の方こそ、君だけは覚えていてくれていると思っていたのに。…本当に"せりかちゃん"の頭は"カイカイ"のことしかないね」
"カイカイ"
「うっわあ懐かしい、その呼び方。何だ計都、イチルちゃんと凄く仲良かったんじゃない、そんなこと知ってるなんて」
それは昔、イチルから呼ばれていた名前で。
「昔はべったりだったからね~。きっと誰よりも、君達のことはよく知っていると思うよ?」
何か――
「計都のこと、イチルちゃんから聞いてなかった気がするな。教えてくれればよかったのにね」
ひっかかった。
「お前は本当に…黄幡計都か?」
気づけば俺はそんなことを言い出していた。