シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「さてさて、俺に言えることはここまでだ。ここまでしか、理事長に許可されていない。俺は理事長に高額バイトを紹介された身、逆らうことは出来ないんだ」
計都はそう笑って。
「それに…もうそろそろ始まるだろうしね。
ああ、もう始まったか」
同時に――
校舎がぐらりと揺れた。
「君達も早く逃げた方がいいよ? 理事長が言うには…此処は、消滅するはずだから」
「え?」
俺達一同目を細めた時。
ドガアアアアアン!!!
凄まじい破壊音が響き、床がつきぬけた。
同時に――窓の外から放たれる閃光。
「じゃあ俺は此処で!!! 会えて嬉しかったよ、"カイカイ"」
眩しさに目を細める俺達に、計都は手を振り――
「そうそう、理事長からの伝言。"あはははは~。どんな危険に遭っても、ロッカーだけは開けないでね~"って。
じゃあ――"またね"」
部屋から飛び出して消えた。
"ロッカー"?
ドガアアアアアン!!!
そんなもの…理事長室にあったか?
「櫂様!!! このことでしょう!!!
やはり、抜け道があります!!!」
桜が、禁じられたロッカーを開けて叫ぶ。
「お逃げ下さい、ここは…危険です。桜は煌を呼び寄せてきますので、一足早く芹霞さんと由香さんと…早く!!!!」
「判った!!! すぐ来いよ? よし、芹霞、遠坂!!! 行くぞ!!!」
俺は玲を抱きかかえると、女2人と共に…闇へと続くロッカーの中に入り込んだ。
それを、氷皇が用意した…緊急避難用だと信じて。