シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「大した自信だね、櫂。今までお前の目に映っていた僕が、本当に"僕"だと思っていたのか? 本当の僕の"心"だと? お前が何をしても従順に動き続ける傀儡とでも?」
何を…言っているの、玲くん!!?
頭を捩って玲くんの顔を見れば、そこには冷たく光る鳶色の双眸があった。
それは――憎悪。
そして、殺気。
あたしの驚愕した気配に気づいた玲くんは、
「ふふふ、大丈夫だよ、芹霞。君を惑わすものは皆排除してあげるから。"僕"と一緒に…永遠に過ごそう? 僕の…シンデレラ」
可愛らしく首を傾げる玲くんは。
あたしに対してはいつもの優しい玲くんで。
だけど――
見えてしまう。
鳶色の瞳の中にある、揺らめく青白い炎。
それは…確かに、優しい玲くんの瞳の中に、見え隠れしていたものだ。
そしてあたしは――混乱する。
目の前の彼は、本当の"玲くん"なんじゃないかと。
じゃあ、玲くんは…櫂を恨んでいたの、いつも!!?
「芹霞。君はあんな男に惑っちゃいけない。ずっとずっと…"僕"のものなんだからね…?」
"あんな男"
それは紛れもなく櫂のことで。
あたしは…殺気にも似た、玲くんが櫂に向けている冷たく鋭い…鋭利な刃物のような感情に震え上がった。
「何…言ってるの!!? やっぱり貴方は、玲くんじゃない。優しい玲くんは絶対そんなことを言わない!!!」
あたしは、そう叫んだ。
すると、苛立ったように…静かに鳶色の瞳が細められて。
「君まで"僕"を…偽りだと言うの?」
静かに静かに、揺らめき立った。
青い――狂気が。