シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
俺は…少しばかり嫌な予感を感じていた。
それはきっと玲も同じなんだろう。
皆の力を信じている玲が、自ら赴くと言い張りながら此処まで心配するのは、あの榊がやられたという事実以上に…何かを感じ取っているからだ。
芹霞に対する想いとか、煌に対する嫉妬とか…そんなものではなく。
説明つかない…何か悪い予感を感じている。
俺のように――。
そしてそれは桜も同じ。
既に渋谷に車を回すように運転手に指示した桜の顔は、妙に強張っている。
桜の勘は鋭いから余計に、そうした表情に不安を覚える。
「あの…馬鹿蜜柑…」
その呟きは、今まで以上の苛立ちを含んでいるように思えた。
胸に抱くテディベアに…力が込められているのが判る。
俺は芹霞に電話してみるが、まるで繋がらない。
いつもいつもそう。
肝心な時には繋がらない。
まるで俺の想いのように。
あくまで俺の一方通行。
芹霞の意識1つで、俺からのサインは届くはずなのに…。
俺も相当たまっているらしい。
早く会いたくて仕方が無い。
早く触れたくて仕方が無い。
それは想い故か、嫌な予感故か。
そんな時、桜の携帯が鳴った。