シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
――ずっとずっと…心から、君を愛してる。
判っている。
玲の…芹霞への想いは、十分過ぎる程判っている。
気づくことは遅かったけれど、気づいてからは…そして玲が想いを隠すことがなくなってからは、どれだけ強く深く芹霞を愛しているのか、俺は傍で見続けてきたんだ。
喜悦と切なさと。
熱の籠もった眼差しで、芹霞を眩しそうに見つめるその表情。
触れたくて触れたくて溜まらないその衝動。
判っている。
俺だって芹霞が好きだから。
俺の為に全てを諦めた玲が、諦めきれないのは芹霞の存在。
そしてそれを許したのは、紛れもなく俺。
だけど、"許した"俺は――
一体何様だったんだろう。
傲慢過ぎた。
玲を蔑ろに扱いすぎた。
だからきっと玲は――
「――道具…?
お前、都合悪いことはすぐ切り捨てるんだね。
何処までも何処までも、"僕"を軽く扱うんだね」
きっと、怒る。
全ての怨恨を俺に向ける。
それでいいと思った。
それだけのことを俺はしてきた。
玲の優しさに甘んじて、俺は本当の玲を抑え続けてきたのだから。
玲を解放してやりたいと切に願いながら、
俺自身が玲を閉じ込めてきたんだ。
玲が望むものはやりたい。
だけど、芹霞に関係するものは嫌だ。
それだけは譲れない。
芹霞だけは…目の前で奪われたくないんだ。
俺の目の前で、芹霞が盗られるのだけはどうしても!!!