シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

熱を増す玲の動きと、次第に抵抗しなくなる芹霞と。


吐息と喘ぎ。

深く結合していることを示す粘着音。


どう見ても、そこには激しく愛し合う男女しか居なかった。


――ドウシテ…


熱い光景とは逆に――

身が凍る程の冷たい戦慄を感じて…俺の心が冷え込んだ。


――オレジャナイ?


玲の愛の言葉を、どうしても芹霞に受けて貰いたくなくて。

その耳を切り落としてしまいたい衝動にさえ駆られて。


――ドウシテ…


ああ――

玲の姿は、愛を求めるただの"男"。


――オレジャナイオトコヲ


絆されるように、芹霞の息遣いが微妙に変わり始めるのを聞いて、芹霞の中からも"女"の部分が目覚めていく気がした。

甘さが滲んだ気がした。


――ウケイレヨウトスル?


俺の目の前で、他の男に開花される愛しい女性。


――オレハ…


それは身を引き裂かれるような痛みで。


――コンナニチカクニイルノニ。



俺は――



――コンナニスキナノニ!!!


発狂してしまう程、心で慟哭し続けた。



――芹霞ちゃあああん!!


俺だけが、芹霞の特別な男なんだ。


俺だけが、芹霞の永遠。

俺だけが、芹霞の運命。


――芹霞ちゃあああん!!



芹霞を目覚めさせるのは、俺だ。



俺が。


その役目は俺だけが!!!
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