シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
我慢…しようとは、思ったんだ。
俺がしでかした玲の"我慢"の苦痛はこんなものではないと、だから俺も耐えようと…
だけど無理だった。
駄目だった。
俺だって芹霞を諦められない。
俺が生きている限りは、芹霞を誰にもやりたくない。
それが例え玲でも――。
気づけば身体が動いていた。
それ以上の行為をさせたくなかった。
俺が、耐えられなかったんだ。
芹霞という存在。
芹霞を手に入れる為に必要な"次期当主"。
それ以外なら…
俺という身体でいいのなら、何処までもお前にくれてやる。
だから…玲の全てを俺に向けろ。
俺は受け止める。
それがせめてもの懺悔、償いだ。
それが俺のやり方…だから。
「いやああああ、玲くん、やめて!!!」
玲の拳が俺の頬に入る。
受け身を取らない俺の身体は簡単に転がった。
「……へえ、何。抵抗しない気?」
何処までも残忍な笑いを浮かべる端麗な顔。
「俺でいいなら、いくらでも叩き潰せ。
再起不能にしてもいい。
だけど…芹霞だけは手を出すな」
「だからさ…」
玲は身を屈んで俺に微笑みかけた。
「芹霞はお前のものじゃないって言ってんだろ!!!?」
ドガアアアアッッ
立ち上がった玲に、俺は鳩尾を蹴られ…思わず吐いた唾には、血が混ざっていて。
その痛みは、玲の本気が感じられた。