シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ああ、もうどうでもいいや。
消えろよ、皆――。
皆、皆消えてしまえよ…。
もう"僕"には必要ない…。
所詮"僕"は、何時だって一人なんだから」
それは絶望に満ちた…無感情の仮面顔で。
「何巫山戯たことをッッ!!! あんたは愛されていると何度言わせれば気が済むのよ、このもうろく爺(じじい)!!! どうして判ろうとしないのよ、このオタンコナスッッッ!!!」
絶対、いつもの玲には吐くことのない…ありえない暴言。
しかし玲の表情はまるで変わることなく。
芹霞の言葉が聞こえている様子はなかった。
「一人は嫌だ。一人は寂しい…。
愛されたい…"僕"は愛されたいだけなのに…」
変わらぬ表情のまま、涙が頬に伝わり落ちた。
それに気づいている様子はなく。
「ああ…母さん…が居たね…」
涙を流したまま、笑いの表情を無理矢理作った玲。
「母さん…いいよ? "僕"を迎えに来て…?
"僕"だけを……愛して?」
狂った母親を
玲がいつも恐れていた母親を…
玲は無防備な姿で…求めたんだ。
それだけ…玲は、愛に渇望していたのか。
それだけ…芹霞に拒まれたことは打撃だったのか。
心がちくりと痛んだ。