シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
黒い闇を切り裂く、目元鮮やかな色。
それはまるで、一筋の希望のような…色彩。
どうやって此処に?
そんな疑問さえ――
目に染み入るような…感動的な光彩を放つ、暁の色には無意味で。
「「煌!!!」」「如月!!!」
俺達全員が口を揃えてその名を呼ぶと、煌は口元の片端を上げて笑い、そして顕現した偃月刀を握り直して、
「まずは、こいつだッッ!!!」
――一閃。
黒い…人型をとり始めた"闇"を、躊躇なく上から下に斬り下ろした。
「か、神崎…悲鳴みたいな気がしないか?」
「な、何この凄い音…」
女2人は両耳を押さえ、苦痛の呻き声を発した。
断末魔…というべき奇妙な音。
それは高く低く…単体であり複数であり。
男のもののようで女のもののようで、嗄れているようで幼い声で。
「やめろ、やめろッッッ!!!
母さんに何をするんだッッッ!!!」
玲が絶叫を上げる。
「――玲。
お前…マザコンじゃなかったろうが!!!」
煌は冷たく言い捨てると、更に黒い闇に向けて、刃を真横に引いた。
耳を貫く絶叫。
喜怒哀楽…全てを超越したような声音。