シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
煌は……紫堂の者のように炎を扱える。


緋狭さん程の威力はないけれど…だけどこれは。


未知数。


皇城翠にも通じる…原石の力だ。


俺でさえ、その限界を推し量れない。


"増幅作用"


緋狭さんがそう言った意味が判る。


少なくとも煌は、緋狭さんの力だと信じて、"約束の地(カナン)"で…俺と玲の力を倍増させたのは紛れもない真実。


煌は…限りなく、緋狭さんに近い存在だというのか。


緋狭さんの多大な力を継承できる者だというのか。


だから――

緋狭さんは、煌を育て上げてきたというのか?


――お前の弱点は、揺れすぎることだ。


玲を助けようとする心が固い信念となり、潜在能力が表層に出たのだろう。


それくらい、煌は…玲を助けようと必死なんだ。


それなのに玲は――


煌からもこんなに思われているということも判らず、

孤独だと愛が得られないと…

思い込みで諦観し、真摯な煌までもを排除しようとしているのか。


駄目だ。

それでは、全てが駄目だ。


俺達は…滅ぶ為に存在しているわけじゃない。


互いを生かせる為に、俺達が存在するんだ!!!


それに、この世界でこんなに力を使っては――


「煌、燃やすなッッ!!! 此処は…玲の心の中だッッ!!!」


玲の世界を滅ぼしてはいけない。


何一つ、滅ぶものがあってはいけない!!!

< 930 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop