シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
煌は……紫堂の者のように炎を扱える。
緋狭さん程の威力はないけれど…だけどこれは。
未知数。
皇城翠にも通じる…原石の力だ。
俺でさえ、その限界を推し量れない。
"増幅作用"
緋狭さんがそう言った意味が判る。
少なくとも煌は、緋狭さんの力だと信じて、"約束の地(カナン)"で…俺と玲の力を倍増させたのは紛れもない真実。
煌は…限りなく、緋狭さんに近い存在だというのか。
緋狭さんの多大な力を継承できる者だというのか。
だから――
緋狭さんは、煌を育て上げてきたというのか?
――お前の弱点は、揺れすぎることだ。
玲を助けようとする心が固い信念となり、潜在能力が表層に出たのだろう。
それくらい、煌は…玲を助けようと必死なんだ。
それなのに玲は――
煌からもこんなに思われているということも判らず、
孤独だと愛が得られないと…
思い込みで諦観し、真摯な煌までもを排除しようとしているのか。
駄目だ。
それでは、全てが駄目だ。
俺達は…滅ぶ為に存在しているわけじゃない。
互いを生かせる為に、俺達が存在するんだ!!!
それに、この世界でこんなに力を使っては――
「煌、燃やすなッッ!!! 此処は…玲の心の中だッッ!!!」
玲の世界を滅ぼしてはいけない。
何一つ、滅ぶものがあってはいけない!!!