シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「芹霞ッッ、玲の名を呼べ!!!」


俺は叫んだ。


「お前の慕う玲の名前を、力一杯叫べ!!!」


後ろで、芹霞が頷いたような気がした。


「玲くん、帰って来てぇっ!!!」


芹霞が思い切り叫んだ。


「あたしは、玲くんが大好きだからッッ!!!」


光が…大きく揺れた。

動揺…しているのか!!?


だけど――


「煩い、煩い、煩いッッッ!!!

"僕"は此処にいるんだッッ!!!

他の…奴の名前を呼ぶな、芹霞ッッ!!!」


芹霞が口にした、同じ名前を持つ玲は…あくまでそれは他人のモノだと突っぱねた。


それでいて――


どうでもいいといいながら…やはり芹霞は諦められない。

そこまで深く根付いた芹霞への想い。



「"僕"を拒むなッッッ!!!!」


どこまでも芹霞の愛を求め続ける。


それは最早…愛憎と化して。



「"僕"を愛せよ、芹霞ッッッ!!!」



鳶色の瞳は…黒い狂気に染まりつつある。


玲の力が荒れ狂う。

青い光が、一際大きくなる。



「――くっ!!! このままだと…玲が暴走するッッ!!!」


煌が一歩退く。


電気の力だけではない。


玲を補填するような黒い闇も…大きくざわめき立っている。

まるで玲を煽り立てるように。
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