シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ええ、玲さんが私を愛して満足させてくれたのなら。その時は、きちんと貴方の大事な従弟を助けて上げる。約束するわ」
生々しい赤い唇が、誘惑の言葉を放った。
そこから吐き出される言葉が、何処までの真実性を持つものかは判らないけれど…だけど信じる以外に術はなく。
――あははははは~
最短で櫂を助ける為には、僕にはもうこの手段しか残されていなかった。
僕が戻れないと知った櫂達は、きっと残りの貴重な時間を僕の救済に費やす気がしたんだ。
そういう…奴らだから。
――それでは駄目だ。
僕が足を引っ張ってはいけないんだ。
だけど僕が此の世界から抜け出れないのなら。
此処には僕の優位性が何一つないというのなら。
僕に残された武器は、この身1つ。
僕だってまだ戦える。
過去を思えば決して綺麗とはいえない体だけれど、こんなもので櫂を助けられるのなら。
僕は何処まででも堕ちてやろう。
その思いに偽りはない。
――ねえ、玲くん。
芹霞――。
もう君に会うことが叶わぬのなら。
もう君に愛される希望が何もないのなら。
堕落しきった僕の中での、唯一の"真実"を君にあげる。
僕の愛は――
君にだけに捧げる。
神崎芹霞、君だけに。