シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
もっともっと、心をぶつけたかった。
もっともっと、僕を見ていて欲しかった。
例えば櫂のように、我を忘れるくらいに必死になって貰いたかった。
例えば煌のように、僕の悪い処を叱り飛ばして貰いたかった。
もっともっと心を砕いて、君に接して貰いたかった。
優しい家族としての位置づけではなく…
櫂や煌のように…同年代の"男"として意識して貰いたかった。
年相応の普通の恋を、君としたかった。
「さあ…玲さん。来て?」
勝ち誇ったような顔をした女が…目を閉じる。
縊(くび)り殺してやりたい心を、僕は必死で抑えて。
あの毒々しい唇に、僕の唇合わせれば…それが開始の合図となる。
後は流れに身を委ねればいい。
得意分野だろ?
今までを思い出せ。
自分の意志など関係なく、ただ流されろ。
それだけでいい。
それだけで櫂は救われる。
だけど……
体が動かなくて。
動き方を忘れてしまったかのように…どうすれば僕が動き出すのか、どんなに考えても判らない。
激しい拒絶に…僕の身体がカタカタ震えだした。