シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
不審げに細められた碧眼の片目が、僕の真意を探ろうと走査する。
その意味を知ろうと、僕の心に忍び込もうとする。
入られると思ったら、悍しい心地がした。
そうだ――。
僕の身体が動かないのなら、言葉にすればいい。
ひとこと、
"愛しているよ"
そう言えばいい。
「私が嫌いなの?」
ほら、言えよ。
"愛しているよ"
簡単だろう?
"愛しているよ"
――玲くん。
"愛しているよ"
それだけ――だというのに。
「交渉は不成立のようね。貴方の大事な従弟が苦しんで堕ちて朽ち果てる様を後悔しながら見ているといいわ。言っておくけれど、久涅は…あの男は、慈悲の心なんて持っていないわよ。欲しいモノの為には、手段を選ばない。ふふふ、あの子も可哀相ね。そんな男に気に入られて」
どくん。
僕の心臓は脈打った。
芹霞を…他の男に奪われる。
訪れようとする現実が…僕の心に突き刺さってくる。
嫌…だ。
芹霞。
芹霞。
心がぎしぎしと軋んだ音をたて、同時に…奥底からざわめき出す存在を感じていた。