シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「貴方を理解出来るのは、私だけ。それが判ったでしょう?」


それは凶言。


ボクノリカイシャハホカニイナイ。


ことりことりと、僕の心の奥が動いた気がした。


まるで奥底から、僕に何かを訴えかけているような、兆候(シグナル)のようにも思えた。


だけど…もう、僕には"破滅"しか進むべき道がないのだから。


どんな警鐘も…見ないフリをしないといけない。



「ふふふ、さあ…1つになりましょう。私達…狂気でしっかり結ばれるの」


――レイ。



「さあ…誓いのキスを。そうすれば貴方は…何も憂うことはない。ずっとずっと…永遠に私と一緒」



――カワイイレイ。



「玲さんの涙って綺麗。もう悲しがらないで? もう貴方は独りじゃない。永遠に…私が付いているから」



"永遠"


――モドッテオイデ。



「私だけの王子様。さあ…」



"永遠"



僕は…永遠に逃れられない。


狂気に…僕の意識が形をなくしていく。


この世界に取り込まれようとしている僕は、一体どんな僕だというのか。



赤い物体が、ぼやけた視界で蠢いた。


「さあ…お姫様にキスを…頂戴?」


僕は誘われるまま…ふらふらと顔を傾け、心の中で色褪せることない…僕の大切な存在達に…永遠の別離(わかれ)を告げた。


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