シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「いやあああああ!!!」
芹霞は首を絞めてはいるけれど、甘すぎる。
恐怖するには至らないもので。
しかしその恐がり様は異常過ぎた。
そして芹霞が、手にしている"何か"でこつんと女の頭を叩いた時、更なる絶叫が大きくなった。
「OK芹霞ッッ!!! 玲、遠坂と共に…櫂の処へ!!!」
頷いた芹霞の手から落ちたのは、砂利のような小石。
「ほら、師匠」
僕は何だか判らないまま、由香ちゃんに立たせられて。
横から芹霞が飛んで来た。
「玲くん…よく頑張ったね」
芹霞?
本当に芹霞?
その頬に触れようとした時、声が飛んで来た。
「玲ッッ!!! そんなのは後だッッ!!!」
その声は――
「櫂!!!?」
間違いない。
毅然としたあの立ち姿。
端正なあの顔。
憂いの含んだ切れ長の目。
何処までも不敵で、何処までも悠然と構えて。
芹霞にかかると余裕を無くす…
間違いなく、櫂だ。
両手を突き出すようにして、場の瘴気を…狂気を操ろうとしている。
否。
吸収しようとしているのか。