シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
『玲、櫂…。悪いが…この世界にしても…肉体を持っている…お前達は…あたしにとって初めての…異質の存在なんだ…。
そこからの伝達は…正直、不安で…時間がかかりすぎる。だから…』
やっぱりな、そうだと思ったよ。
七瀬の身体がここにあれば、きっと俺を向いていただろう。
七瀬の得意分野が、"意識"との接触ならさ。
「ほらほら、とっとと行けよ。時間が惜しい」
俺は叫ぶ。
「煌、お前だって僕達と同列の"異質"だとしたら、お前だって…」
『……。いいのか、煌』
七瀬は拒絶しない。
判ってるよ、俺の方がやりやすいんだろ?
七瀬の口調から推し量れば、多分、七瀬は気づいているんだ。
俺が一番適役だという、その理由に。
――いい? 条件はこれだけ。"絶対、声を出さない"。
感じるんだろうな、俺が唯一の…七瀬が掴める存在であると。
――まずは…腕。
「お前…判ってるんだろ?
俺1人くらい、ひっぱりあげる力は残して置けよ?」
『それは考えている』
――次は…足。
「……煌?」
芹霞が目を細め、全員の視線が俺に向く。
仕方がねえ、誤魔化しきれないや。
「俺――
肉体、置いてきてるんだ。
今、意識だけ」
――ふうん…。耐久性があるんだね?
頭を掻きながら、俺は言った。