シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
『あるぞ、初めて会った時から…。芹霞限定で…。だから…芹霞、惑ったりしなかった…か? お前の前で…』
惑う?
いつ?
そんな時があったのなら、逆に俺が教えて欲しい。
黒髪の時は…様子が変だったけど、だけどあれ、俺の黒髪がおかしいからで。
「うぅん…真っ赤になる時は…あるけれど、ああ、そういえば芹霞が初めて俺に鼻血出したけれど…別に攻めてた時じゃねえし。
うーん、どう考えても俺に色気…なんてもんはねえよ。あるのは…いい男にだろ? 俺がもつはずねえし」
悔しいけれど。
『ふぅ…似たもの同士の無自覚か…。……では語れ。芹霞への想いを…』
「は?」
想いを……語れ?
『案の定…あたしが思う"好き"では、色気までは出ない。…だったら、お前達だけしか判らない…"好き"が、どんな風なのか…それが少しでも解明出来たら…心やら色気やら…何とか誤魔化せられると…思うんだが』
「り、理屈は判るけど。
お、俺…お前に語るの!!?」
『ああ。具体的に、初心者のあたしでも判りやすく』
「お、お前…Sかよ!!!?」
『S? ああ、確かに…Shimaだから、Sだな…』
「誰がイニシャル聞いてるよ!!!?」
俺は沸騰しながら、怒鳴った。
「た、朱貴に聞けよ!!!」
思わず叫んでしまった俺。
『いや…朱貴の案なんだ…。それで勉強…しろとか言われて』
あの強(したた)か男……。
俺達利用して、楽して安泰の立場を手に入れようとする魂胆かよ!!?