シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「葉山ちゃ~ん。意識薄れてるの~? 覚えてる? 気絶もナシだからね? 君に課した条件は…君が大好きな"櫂様"が来てくれるまで、

"声を出さないこと"

"気絶しないこと"」


私は…気を奮い立たせて、目の前の男を睨み付ける。



「おお、まだ元気なようだね、7本目の指が逝っても。

あ、そうそう。指が無くなったらGAME OVERじゃないからね~。人間の体には、骨というものは沢山あるんだから。

まあ…"櫂様"が、永遠に…終点である此処に来なかったら、骨の次は肉を削いでいくからね~。それで君が降参したら…判っているよね?」


戯言のような軽口。

明確な悪意。


そして何より、その顔立ち、その体格。


違うのは…色だけ。


あの非情な青い氷皇と――。


「私は――

煌を…煌の体を、絶対殺させない」



男は笑った。


馬鹿にしたように、心底愉快そうに。


それは…私に悪感情を抱かせるには十分なもので。


「さあ、君が"助けている"オレンジワンちゃんが、君のご期待に添える働きをして、早く櫂様と戻ってくればいいねえ。今で7つ目、スタート記念での1つ目除けば、既に6時間は経過したのに…全く音沙汰ないけれど」


「煌は必ず、櫂様を連れ帰る。必ず、だ!!!」


「だといいね~。ははは~」


胡散臭い笑い声まで同じだ。


ここまで酷似していたら、確かに皇城翠が氷皇を見て声を上げた訳が判る。


< 985 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop