シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「葉山ちゃ~ん。意識薄れてるの~? 覚えてる? 気絶もナシだからね? 君に課した条件は…君が大好きな"櫂様"が来てくれるまで、
"声を出さないこと"
"気絶しないこと"」
私は…気を奮い立たせて、目の前の男を睨み付ける。
「おお、まだ元気なようだね、7本目の指が逝っても。
あ、そうそう。指が無くなったらGAME OVERじゃないからね~。人間の体には、骨というものは沢山あるんだから。
まあ…"櫂様"が、永遠に…終点である此処に来なかったら、骨の次は肉を削いでいくからね~。それで君が降参したら…判っているよね?」
戯言のような軽口。
明確な悪意。
そして何より、その顔立ち、その体格。
違うのは…色だけ。
あの非情な青い氷皇と――。
「私は――
煌を…煌の体を、絶対殺させない」
男は笑った。
馬鹿にしたように、心底愉快そうに。
それは…私に悪感情を抱かせるには十分なもので。
「さあ、君が"助けている"オレンジワンちゃんが、君のご期待に添える働きをして、早く櫂様と戻ってくればいいねえ。今で7つ目、スタート記念での1つ目除けば、既に6時間は経過したのに…全く音沙汰ないけれど」
「煌は必ず、櫂様を連れ帰る。必ず、だ!!!」
「だといいね~。ははは~」
胡散臭い笑い声まで同じだ。
ここまで酷似していたら、確かに皇城翠が氷皇を見て声を上げた訳が判る。