シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


あり得ないくらいに似ていた。


偶然にしては出来すぎていたし、必然に思えば奇妙すぎて。


銀色のBR001は"酷薄さ"だけを写し取っていた存在。

だけど目の前のこの男には…何処までも人を見下したような眼差しで、相手の怒りを煽るような…胡散臭さまで、丁寧に写し取っている。


確信犯的な部分は特に…氷皇と酷似していた。



そして――

途方もなく強いことも。


氷皇とどちらが上かは想像出来ない。


皇城翠によって、意外にもすんなりと皇城本家に行き着けた私達は、その理由が…周涅本人が招いていたからだということを知る。


皇城本家で、待ち兼ねていたから。


――はるばるようこそ。僕は七瀬周涅ちゃんといいます。丁度退屈してた時だったから、遊んでくれる? …お手並み、拝見。


私と煌は…好戦的な周涅と交戦した。


――もっともっと、愉しませてよ!!!


私達は、周涅の"余裕"を崩せなかった。


――ふうん、こんな程度? 紫堂櫂も…過大評価で終わって欲しくないなあ。


それ程強い――七瀬周涅。


七瀬紫茉の兄だという男。


皇城の中枢に居る…大三位という位階を貰う男。


自分を"ちゃん"付けにするのを躊躇わない男。


朱貴が…辟易していた意味がよく判った。


力だけではない。


――久々に、狩猟本能…目覚めさせたいし。毎日が退屈だから、さ。


彼は…氷皇レベルで、嗜虐的な趣向が…強かった。


彼は、他人に動かされる側の人間ではなく、

他人を動かす側の人間だった。


己の残虐性を、取り繕ったような"無邪気さ"で誤魔化そうとする、そんなとんでもない男だった。
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