シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

――そうだよ、周涅ちゃんの術。それが何?


――口のききかたがなってないね、質問する時は…"土下座"でしょ?


――煩いね、翠くん。ちょっと黙ろうか。


――此処に入れば、"排除"されるのくらい、判っていたでしょ? 殺されないだけマシって奴だよ?


そして――


――紫堂櫂をどうしようと、周涅ちゃんの勝手。答える義理はないね。


――判った判った翠くん。君の声は頭に響くんだって。"九星の陣"は、発動したら止まらないの。紫堂櫂が術で潰れるか、抜けきれるかの2つに1つ。抜けれたら此処に出てくるよ。待ってれば? いつになるか知らないけど。ははは~。


――何、ワンちゃん周涅ちゃんの術の中に飛び込みたい? うっわ~、今時こんなバカが存在してたんだ~。


――んふふ。じゃあね、単純なゲームに勝てたら…紫堂櫂の処に連れて上げるよ、ワンちゃん。助けたいなら、自分で助けなよ。だけど、帰りは知らないよ。


それは…チャンスと言えた。

顔を綻ばして私を見た煌に、周涅は薄く笑った。


その瞬間、私は嫌な予感を感じたんだ。


――いい? 条件はこれだけ。"絶対、声を出さない"。どこまで…出来るかな?



その意味は――すぐ判った。


煌は耐え抜いた。


両腕両足を折られ、どんなに体を満遍なく蹴り飛ばされても。


顔が腫れ上がり、肌の色が健常者のものを示さなくなっても。


声を…何1つ上げなかった。

何1つ抵抗しなかった。


見ている私の方が…顔を背けたのに。


――ふうん…。耐久性があるんだね?


――こんなんで、いいのかよ? 


挑発的な目に、周涅は…面白くなさそうな顔をして、


――なんか…抵抗されないのはつまらないや。ああ…いっそ殺しちゃおうかな。ああ、判ったから翠くん。キーキーしないの!!


そしてポンと手を打ち、私に言った。


――いいこと思いついた。ねえ葉山ちゃん。オレンジワンちゃんを殺されたくなかったら、君も…遊んで欲しいな~。


次の…矛先は私。

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