シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
蝶が…眼球を無くした女達と関係があるのなら。
黄色い外套男と蝶の関係は無関係とはいえまい。
あちこちに、未だ続く女の悲鳴。
突然顔から血を吹き出して、女が倒れていく。
あの黄色い男の力か!?
目の前の惨状を引き起こしている直接的な起因が、芹霞さんのいう、目に見えぬ蝶であるならば。
蝶というものがあの黄色い男の力なのか?
しかし私には、あの男の凶々しい気配は感じるけれども、女生徒を襲っている"何か"の気配を全く掴む事が出来ない。
惨状の元凶があの男だとするならば。
早く元を絶ちに行きたいのに、
櫂様。
芹霞さん。
何より守るべき者達がいるのに、この場を放置して遠く離れた男の元に行くのも、危険な気がして。
だとすれば、このまま此処で私が防戦となったとしても。
腰を抜かして動けない者、遠巻きに事態を見つめる者。まだ現場から人が引けぬ時に、闇雲に武器を振り回しても、不用意に多くを巻き込むだけと思えば、思うように行動出来ぬ現実がもどかしい。
これか。
煌が1人で動けなかった理由は。
「桜、お前此処で守れ。俺が上に行く」
端からそのつもりだったらしい煌の瞳は決意に固く。
「いや…私が行く」
そんなやり取りの中、芹霞さんが叫んだ。
「ひいいい!!? 今度は蝶があっちに…」
同時に――
その女生徒が突然、両目を手で押さえ蹲って絶叫した。
間違いなく…
芹霞さんには見えている。
どういうことだ?