シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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皇城本家は、平屋造りの純和風の家だった。


20畳はあるだろう、畳が敷き詰められた大広間にいるのは、私と周涅と…意識無い煌の肉体と、叫び続ける皇城翠のみ。


他に住人はいるのだろうが、不気味な程にその気配を感じない。


閑散としすぎている空気が、不気味な雰囲気を漂わせた。


皇城翠が大声で人を呼んでも反応はなく、周涅はにやにやと笑って言う。


「それが、実力主義の皇城において、大三位の…周涅ちゃんと翠くんの評価の違いだよ? 悔しかったら、大二位におなり?

ああ、君の大好きな"兄上"に頼ろうとしても無駄だよ? このことご存知で周涅ちゃんに一任して出かけちゃったんだ。だからこの家の者達は、一番偉い人に従ってるだけ。何1つおかしくないね、ははははは~」


全てはあるべき形に、必然になされただけ。


「――くっ!!!

葉山を…ワンコを解放しろよッッ!!! 術を解けよッ!!!!」


翠の抵抗は執拗だった。


言葉と怒声と、符呪まで使って抗したが…皇城次男は周涅の敵ではなく。


皇城翠がどうこういうよりも、周涅の力が圧倒的に強すぎた。


まるで大人と赤ん坊のような明確な力関係。


ただ翠は、やられても諦めようとはしなかった。


何度も何度も無謀に思える程に立ち向かい、流石の周涅の余裕顔も、次第に煩そうに歪んでいく。


そして翠を抑える為に、私の負傷した手を踵で踏み潰す暴挙に出た。


そして――


「条件追加。翠くんが刃向かう度、この子の指から上の部分を砕く」


途端翠は…頭を抱えて叫んだ。


「俺、葉山を守りたいのにッッッ!!!」


私の為か。

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