シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「桜、お前どうした!!!?」


玲様と櫂様は、私を振り返ると強張った顔をした。


そして玲様が慌てて私に駆け寄り、芹霞さんと遠坂由香が煌に駆け寄った。


「煌、煌!!!? やだ…ちょっとしっかりして!!?」

「何とか、息があるね…」


ひとまずほっとした時、端麗な顔が私を覗き込んだ。


「桜、ごめんね。此処まで我慢させてごめんね」


辛そうな表情をしている玲様が私を抱き起こす。


「大分酷く…やられたね」


そして月長石を出して結界を作ろうとするのを、私は拒んだ。


「どうか…どうか煌を…。

そうしたら…戻って来るのかも…」


「……。煌は、役目を果たしてからきちんと帰ってくる。だから大丈夫」


役目?


そして玲様は、私に回復結界を施した。


「桜と…煌をどうした?」


低い…威嚇のような櫂様の声音が聞こえる。


この響きは…"怒り"だ。



「見ての通り。お前が来るのが遅すぎて、『暁の狂犬』と『漆黒の鬼雷』が犠牲になっただけ。ああ、遊んだのはそこの周涅だ。殺されてなかったことに、謝辞を述べたらどうだ?」


くつくつ。


周涅の肩に手をかけ、久涅が笑った。



「何が…おかしい」


玲様の…怒りを含んだその声に、更に久涅は肩を揺すって笑う。


「折角出てこれたのにな。

全て全て…水の泡。


これなら出てこない方がよかったんじゃないか?」


そして、笑いが止む。


それを合図に、久涅が櫂様に攻撃を仕掛けた。
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