シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「今…何時ですか…?」
遠坂由香は腕時計を見て。
「ああ…ちゃんと正常に動いているな。
……!!? ………。
ごめん、ボクの時計壊れちゃったみたいだから、君の見させてよ。
……やっぱり!!? 壊れてないのかよ!!?
紫堂、師匠!!! あと3時間もないぞ!!!?」
あと3時間…。
罠が張り巡らされているとして…ぎりぎり。
「由香さん…皆と…横須賀へ。此処は…私が…」
「無理だって!!! 紫堂や師匠でも…押されているんだぞ!!? そこにふらふらの君がいて、あの2人相手にまともでいられるわけないだろう!!?」
私は…煌を見た。
芹霞さんが…顔色悪い煌の頬をぺちぺち叩く音が聞こえる。
どうすればいい?
多分…此処から櫂様達を逃したとしても、此処に残った者は殺されるだろう。
櫂様は行かねばならない。
玲様は櫂様を守らねばならない。
そこに煌を託せられるだろうか。
煌が足手纏いになったら、全てが無意味だ。
だけど、だけど!!!
命を無くすのは――
私だけでいい。
私が、時間稼ぎをすればいい。
力無き者は、捨てられる運命であるならば、
少しでも役に立って、華やかに散りたい。
最後まで悔いはない生き方をしたと、
自分に誇りをもって死に行きたい。
だから…
「久涅!!!!」
突如凛とした声を出したのは、
「取引しよう!!!」
芹霞さんだった。