覆される都市伝説
「少しでも納涼になればと、ウワサになっている小説を読んでみたが、ありがちな話でちっとも寒くもならんし」

うっ…。

それって絶対、わたしの小説のことよね?

「挙句にこんなモノまで来るしな」

長い黒髪を揺らし、女の子はわたしを真っ直ぐに見た。

『えっ? あっ、やっぱりわたしのことが見えるの?』

「気配で察知した。何か私に用か?」

女の子は汗で濡れた前髪をかきあげながら、それでも僅かに落ち着いた声で問いかけてきた。

『えっと…その…怖く、ないの?』

「何が? ああ、熱帯夜はイヤだな。けれど怖いというほどじゃない」

いや、そうじゃないんだけど…。
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