覆される都市伝説
人なつっこい笑みを浮かべ、ハズミはわたしに手を差し伸べる。

「マカが待っている。帰ろう?」

「マカ…が?」

「うん。ナナオを本当の意味で開放する為に、このサイトのことを詳しく調べていたんだ。だから今まで時間がかかった」

ふとハズミは険しい表情で、周囲を見回す。

「こんな所に女の子一人を閉じ込めるなんて、ヒドイやり方だ」

「えっ…? どっどういう意味?」

「あまり時間がないから、短く説明するね。―ナナオ、キミは操られているんだ」

「操られて…?」

それはマカにも聞かれた。

誰かの、何かの差し金かと…。

「ちっ違うわ! わたしはわたしの意思で…」

「じゃあ聞くけど、キミは生前、何か特別な能力を持っていた?」

「それは…ないけど」

「そうだね。キミは普通の人間だった」
< 112 / 161 >

この作品をシェア

pagetop