覆される都市伝説
「マカのことなら心配いらないよ」

そんなわたしの不安を見抜いたように、ハズミは優しく微笑む。

「言ったよね? マカは気に入ったモノにはとことん甘いんだって。ナナオのことを気に入らなきゃ、ここまでしないって」

「…ホントに…戻っても、良いの?」

「ああ。もしマカがヘソを曲げてたら、ソウマさんの店で一緒に働こうよ? 小物屋で働くのも、楽しいよ?」

「ふふっ…。そうね」

そしてわたしはおずおずと手を伸ばし、ハズミの手を握った。

「―よし。マミヤが今、キミを縛り付けているモノと戦っているから、早くここを出よう」

マミヤが戦っている?

…わたし、本当に自分の意思ではなく、他の何かに操られていたの?

全く記憶に無いことが、怖い。

ハズミは力強くわたしを引っ張り、闇の中を飛び始めた。
< 115 / 161 >

この作品をシェア

pagetop