覆される都市伝説
その現実が、簡単には受け入れられない人は多かった。

わたしも…そう、だったから。

「その施設、実はちょっとオカルトが絡んでいてね。キミが記憶が無いまま操られていたのも、そこに通っていたせいなんだ」

「オカルト? でもそんなっ、普通の施設だった…」

「普通の施設には、黒い十字架なんてないと思わなかった?」

黒い…十字架?

…言われて、思い出す。

あの施設…一見は教会のように見えた。

白くて、キレイなステンドグラスがある教会…。

……でも、あそこの大人達は、黒き十字架に祈りを捧げて……。

「あっ、あっ…あああああっ!」

強く痛み出す頭。

フラッシュバックする記憶。

次から次へと、封じられていた記憶が溢れ出す。

そして耳の奥からよみがえる、一人の女性の優しげな表情と声。

―復讐、したくはない?―
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