覆される都市伝説
 バチンっ!

頭の中で、強い衝撃が響いた。

それと同時に…思い出した。

わたしは…あの施設の裏にある、海に面した崖から飛び降りた。

だってあの悪魔が言った。

―あなたがここで身を捧げれば、必ず願いは叶うわ―と。

そしてわたしは飛び降りたのだ。

けれど落ちていく中で、わたしは見てしまった。

海の中から、わたしを見上げる不気味な異形のモノ。

それはとても大きくて…わたしは一口で飲み込まれてしまった。

「…そう、だった。わたしは…あの海の中にいた化け物に…自ら身を捧げてしまったんだった…。そうすればわたしの願いは叶うからって…言われて」

ポタポタと涙が膝に落ちる。

ああ、涙を流せるんだな、なんて妙に冷めた気持ちで思う。

「ナナオ、お前にそれを言ったのは誰だ?」

マカの鋭い視線が、わたしを射抜く。
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