覆される都市伝説
石の通路の壁際にはスイッチがあり、押すと天井からぶら下がっている電球に光が宿る。

「逃げたばっかりだから、電気が通ってて良かったよ」

「ボクは別に暗闇でも平気だけど」

「…マノンは良いかもしれないけど、僕の足はまだ、コレなんだから」

リウは困り顔で、ズボンを掴んで上げた。

リウの細い足は、真っ黒に染まっている。

「普通に歩く分には何ともないけど、こういう石の階段はちょっとキツそう」

「影に乗る?」

「それは激しく遠慮するよ」

「楽なのに」

リウは普通に階段を降りていく。

しかしマノンは足の裏に影を入れて、滑るように降りていく。

「出来れば短い距離であってほしいけど」

「そんなに奥までは続いていないみたいだよ。まあこんな所から逃げ出すなんて、逃亡方法が分かりやすいな」

マノンはニヤッと笑う。

リウの願った通り、階段はそんなに長くは続かなかった。
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