覆される都市伝説
アレはとても大きかった。

人間など一口で飲み込めるほど、大きかった。

それこそクジラのごとく、大きさ。

よくも他の人に見つからないものだと、当時は思ったけれど…アレが神と呼ぶ存在なら、普通の人間の眼に映らないこともうなずける。

「でもアレにはわたしの体が…」

言いかけて、止める。

シスターの勧めがあったとは言え、最期を選んだのはわたし自身。

…今更肉体への執着を見せても、どうにもならない。

「そう、だな。かの古き神は、一般の人間を喰らっていたんだったな」

マカは疲れた顔で、前髪をかき上げる。

ハズミとマミヤが言っていたことを思い出す。

マカにとって、マノンは避けては通れぬモノ。

傷付くことを分かっていても、関わらなければならない存在なんだって…。

「それじゃあもう…二度とあのシステムは生まれないのね」
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