覆される都市伝説
「ソウマさん、浴衣の着付け、できるんですか?」

「自分で扱っている商品関連ですからね。勉強しているんですよ、これでも」

真面目な人なんだなぁ。

「んじゃ、先に私の着付けから頼む」

「はいはい」

二人は寝室に入って行った。

残されたわたしは、浴衣を撫でた。

…浴衣の作り方は、前におばあちゃんから教わっていた。

けれどいっつもおばあちゃんが作ってくれたので、わたしは結局、一度も作らなかった。

そのおばあちゃんが死んで、その後、わたしもすぐに…。

「おばあちゃん…。ゴメンね…」

優しかったおばあちゃん。

わたしには決して人を恨んだりしないようにと、言い聞かせてくれた。

怒るのは良い。

けれど恨みの気持ちは、心を醜くさせると言われていたのに…。
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