覆される都市伝説
―しばらくしてマカが浴衣に着替えて出てきた。

長かった髪も頭の上でまとめて、かんざしをしている。

「マカ、とってもキレイ! …だけど、未成年に見えない」

「ほっとけ」

やっぱり浴衣の色のせいか、すでに成人を過ぎているように見える。

「次はナナオだ。とりあえず一人でやってみろ。ダメだったらソウマを呼べ」

「うん」

わたしは浴衣を持って、寝室に入った。

「んっと…。ああやって、こうやって…」

十分後、悪戦苦闘して着てみたけれど…。

「…ないわ。コレはない」

等身大の鏡の前で、わたしはボソッと呟いた。

あちこちヨレヨレ、着崩れしていて、浴衣を着たまま全力疾走した後のように見える。
< 82 / 161 >

この作品をシェア

pagetop