覆される都市伝説
「ミナはご両親の田舎に行っているわ。帰るのは後一週間ぐらいになりそうだって」

「そうなんですか。でもそちらの方がいらっしゃるなら、マカ先輩も寂しくないですね」

外国の女の子の目が、わたしに向く。

「あっ…」

思わず一歩後ろに下がると、マカがわたしを庇うように前に立った。

「それじゃあそろそろ私達は行くから」

「お引き止めしてすみません。ではわたし達もこれで」

「マカ先輩、また学校でお会いしましょうね」

「新学期、楽しみにしています!」

「ええ、またね」

そうして三人とすれ違いざま、外国の女の子がわたしにだけ聞こえる声で呟いた。

「―早く元いる場所にお戻りなさいな」

「っ!?」

それは一瞬の出来事。

けれど久々に身も心も凍る思いを味わった。

やっぱり…わたしの正体が分かる者、なんだ。
< 94 / 161 >

この作品をシェア

pagetop