覆される都市伝説
「食べ歩いている時は甘い物しか口にできなかったからな」

そうは言いつつも、アンズジュースを飲んでいる…。

「早く食べないと、マカに全部食べられてしまいますよ?」

ソウマさんが苦笑しながら追加分を足してくれた。

けれどまた、マカはすぐに手を伸ばす。

「どっどうしてそんなに食べられるの?」

「頭を使っているから、カロリーが消費しているんだ。言っとくが、残しておいてはやらんぞ」

「きゃーっ!」

わたしも慌てて箸を取る。

食べつつも、夜空に上げる花火を見る。

―こうやって騒ぎながら花火を見るなんて、生まれて始めてだった。

まさか死んでから経験するなんて、思わなかったな。

…でも、あの魔女は言った。

早く元いる場所に戻れ、と。

その言葉がよみがえるたびに、心が凍り付く。

わたしはやっぱり…元に戻った方が良いのかもしれない。
< 98 / 161 >

この作品をシェア

pagetop