先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
授業中の窓から外を見るのが私の日課。
サボる先輩を見つけて、その様子をじっと見つめていた暑い夏の5時間目。
眠気なんて吹っ飛んじゃうくらい先輩はかっこいい。
先輩は、私の視線に気付いて…
ニコってね。
笑ってくれた。
そして、砂の上に書いたんだ。
『カレン』…って。
それは、私の人生で一番感動した出来事で、
誰にも言うことができないくらいに、大切な思い出になった。
たった一度の私との会話を
覚えていてくれた。
あのリレーの案内係だった私の名前を覚えていてくれた。
カレン…
先輩はレン…